Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

Remember the Titans

普段なかなか映画を見ないんですが、大学が休みで時間がたくさんある時にと、図書館で借りてきた映画を見ています。最近見たのがRemember The Titansという映画。随分前の映画になりますが、実は公開当初から気になっていた映画で見たいなあと思いながらずっとそのままになっていたのが、先日図書館に行ったらなんと置いてあるじゃありませんか。ということでさっそく借りて見てみました。

 

タイタンズを忘れない 特別版 [DVD]

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この映画、実話をもとに作られたものです。1971年にアメリカ、バージニア州、教育改革の一環として誕生した初の白人・黒人混合の高校、そして人種混合アメフトチーム。生徒達はもちろん、コーチも地元の住民たちも、皆最初はとまどいを隠せません。当然のことながらすんなりとはことは運びません。

 

白人と黒人とが統合された新しいチームのコーチとなるのがデンゼル・ワシントン演じるスパルタコーチ。このコーチがめちゃくちゃ厳しい。たぶん今ならパワハラと訴えられてもおかしくないんじゃないかなというような厳しい練習。でも、練習の厳しさうんぬんと言う前に、一番の問題はやはり白人学生と黒人学生の間の溝。そんなに簡単に打ち解けあい、チームとして協力し合えるわけはありませんよね。でもチームがバラバラだったら勝てるはずがない。そこをどうまとめていくか。

 

合宿の中でコーチがメンバーたちにトレーニングとは別に課した課題があります。それは白人のメンバーと黒人のメンバーとが、それぞれ全員と話をして相手のことを知るようにということでした。相手の名前は何なのかどんなことに興味を持っているのか父親はどんな仕事をしているのか。そんなふうに相手のことを知るようにというのです。もちろんそう簡単にはうまくいかないのですが、それでも合宿の最後にはお互いの間にあった壁を乗り越えてチームとしてのまとまりができてきます。

 

そして合宿が終わり新学期がスタート、新しい黒人白人共学の学校が始まります。アメリカンフットボールのチームメイト達は合宿を通じてお互いのことを知り仲間として打ち解けあっていますが、他の学生たちはそうではありません。そこで改めて彼らは白人と黒人の間の溝の深さを思い知らされるのです。そんな中、アメフトの試合が始まり、チーム・タイタンズは勝ち進んで行きますが…。

 

改めてアメリカにおける人種の問題の深さを感じさせられるそんな映画でしたが、同時にその問題の本質は何なのかということも考えさせられました。私たち日本人にとってこのアメリカ社会の人種の問題というのは、問題としてあることを知ってはいてもなぜそんな風になっているのかどうもピンとこないところが大きいような気もします。でも実はこういった問題はアメリカ社会だけではなくて、日本にも似たような問題があるんじゃないか。私が感じたのは、人種がどうかということよりも人と人がなぜ憎みあったりいがみ合ったりするのか、その根っこにある原因は何なのかということ。ひとつには、知らないものに対する恐れというのがあるのだと思います。誰しも未知のものは怖いと思います。偏見や先入観というのは相手のことをよく知らないから起こるもの。そして知らないからまた相手を恐れもします。でも同じ人間として相手のことを知った時、相手にも家族がいたり生活があり、また自分と同じように傷ついたり喜んだりする生身の人間である。そんなふうに一人の人間として相手のことを知った時に、相手に対する親愛の感情が生まれてきます。一人の人間として相手のことを知るということ、それが差別や偏見を乗り越えていく上でとても大切なことなんだと思います。でも同時にそれがとても難しいことでもあるのですが。

 

この映画、ドラマとしても面白く、役者たちの演技も素晴らしく、そしてまた色々なことを考えさせられるそんな映画でした。登場人物は実在の人物ということもあって、映画の最後に彼らがその後どんな人生送ったのかそんなことも記されていて、それもまたとても興味深いものでした。随分前の映画ではありますが今も変わらない普遍的なテーマだと思います。今また、人種間の争いが大きな問題となっているそんな時だからこそ、改めて考えるきっかけとなる良い映画だと思います。そして、大切なことを教えてくれる映画でもあります。見てよかったと思える映画でした。