Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

ブッククラブと『パチンコ』の話

何の話かと言うと、先日読み終えたばかりのこちらの本のことです。

 

Pachinko

Pachinko

 

日本に移住してきた韓国人家族の物語。何世代にもわたっての物語が繰り広げられる700ページ越えの超大作でした。第二次世界対戦前に始まって、戦中、そして戦後まで続きます。 最初、読みながらどうしてパチンコというタイトルなのかなと思っていたのですが、中盤になってようやくわかりました。物語が孫世代に来たところで、登場人物の一人がパチンコパーラーで仕事を始めるのです。そしてそのままパチンコ店経営に携わっていきます。なぜパチンコ店なのかと思って調べてみたところ、日本にたくさんあるパチンコ店の多くが実は在日韓国人によって経営されているということを初めて知りました。当時、在日韓国人が就ける仕事というのはとても限られていて、その1つがパチンコ産業だったよう。なので登場人物たちの何人もがパチンコ店での仕事に就いていきます。物語の最後も非常に印象的。これについてはブッククラブのメンバー内でも賛否両論といった感じでしたが、タイトルのPachinkoが暗示的でもあります。

 

 この本を読みながら、自分の国のことながら知らないことがたくさんあるんだなと色々と気づかされました。日韓関係は色々と複雑なこともありますが、この本を読んで改めて色々と考えさせられました。在日韓国人について書かれた小説を初めて読みましたが、こういう本を日本人として一度は読んでおくことは大切だなと思います。

 

ブッククラブでのディスカッションも大いに盛り上がり、作品についてのみならず、日本社会について、在日韓国人について、そして第二次世界対戦のこと、いろんなことをいろんな国の人たちの視点で話し合えたことはとても興味深かったです。 ちなみに参加者の国籍は、日本、フィリピン、スペイン、アメリカといった感じでした。韓国人がいなかったのが残念。 ただ、多国籍なメンバーだったこともあって、テーマを日韓の問題だけではなくて人種の問題として捉えて、例えばユダヤ人の迫害に話がおよんだり、広い視点で語れたのが良かったです。

 

ボリュームのあるかなりの長編ですが、ストーリーはとても面白く、ドラマチックな展開にちょっと韓国ドラマを彷彿させられましたが、舞台は日本なのでまた違った感触です。英語は非常に読みやすく、私はサクサクと読めました。ただ、長いのが辛いですね。私はブッククラブ当日の朝にギリギリセーフで読み終えました。他のメンバーも同じだったようなので、「何だ皆いっしょか」と安心しましたが(笑)

 

残念ながら日本語版は出ていないようですが、アメリカではかなり話題になりベストセラーになっているそう。一読の価値ありと思います。