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昨年から読んでいた『The Good Life』という本をようやく読み終えました。今日はその感想を書いてみようと思います。
ちなみに去年に書いたブログ記事はこちら↓
What Makes a Good Life? ~幸せになるのに遅すぎることはない~ - Lady Green's Diary
日本語のタイトルは『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』です。私が読んだのは英語版で、タイトルは『The Good Life: Lessons from the World's Longest Study on Happiness』です。こちらの方が本の内容を端的に表していてわかりやすいですね。ただ、最後まで読んで、日本語タイトルの意味がようやくわかりました。ある意味でネタバレ的な感じもあります。
もともと同じテーマのTED Talkの動画が好きで、より詳しい内容を読みたいと思ってこの本を読み始めました。動画では割愛されていた、研究の詳細が書かれていてとても興味深かったです。
誰もが幸せになりたいと思いながら生きていると思います。そして多くの人が幸せのためにお金が必要であるという風に考えています。もちろんお金がなければ不自由なことも多く、幸せな人生を生きることが難しくなるでしょう。でも、資産がいくらあるかということでその人の幸福度が測れるわけでもないのです。もし、いくらお金を持っているかで幸せを測ることができるのならば、ある意味それはとても分かりやすいともいうことができます。でも、そうではないから難しい、そして面白い。
ハーバード大学の長年に渡る研究が明らかにしたのは「人間の幸福度に最も影響するのは人間関係の豊かさである」ということです。
決して、幸せのためにお金はいらないと言っているわけではありません。ただ、「お金以上に人の幸福度に顕著に影響するのが人間関係である」ということなのです。そして人間関係というのはより複雑で難しく、時間をかけて育てる必要もあります。でもそこに自分の時間やエネルギーを割くことが人生への満足度を大きく向上させるというのです。
この本ではハーバード大学の幸せ研究に参加した人たちの実例をたくさん紹介しています。その中には経済的に豊かな家庭で育った人もいれば、貧しい家庭で育った人もいます。家庭環境も様々です。研究では同じ人の人生を何十年もの間追跡調査しています。毎年アンケート調査に答えてもらい、直接会ってインタビューをし、健康状態を検査したりもします。調査に参加した人が成人し、子供を持ち、そしてまたその子供も調査に参加する。何世代にも渡ってその人の人生がどのように展開していくか追跡していきます。私たちはその人たちの人生を追体験させてもらえます。
これはフィクションではありません。映画や小説の話ではありません。特別な才能を持った特別な人の物語でもありません。大半は私たちと同じごく普通の人たちです。登場人物たちの人生の物語を読みながら、自分にも当てはまると思えることが必ず見つかるのです。この本が小説や映画ではなく、調査に基づいて書かれたある種の報告書であるということが、この本を特別なものにしています。人間関係の大切さについて科学的な知見から書かれているので、非常に説得力があります。
パートナーシップについても取り上げられています。その中で、私が最も興味を引かれたのは、長続きするカップルに共通する特徴についての話です。長く続くか別れてしまうか、もちろんそれぞれに事情はあるでしょう。でも、そこにある一つの共通点を見つけることができます。それは、たとえお互いに考え方の違いがあったとしても、お互いが相手のことを理解しようと努めているかどうかということ。その事実があれば、カップルは長続きする傾向があるというのです。そして、特に男性側が女性の気持ちを理解しようという姿勢を見せているかどうかが重要であるというのです。
これ、すごく面白いなぁと思いました。おそらく多くの女性は「うんうん」と頷くのではないでしょうか。2人の人間が全く同じ価値観や考え方を持つということは不可能です。それでも良い関係を続けていこうと思えば、相手を理解できるかどうかは別として、少なくとも理解しようと努力をしていること。そしてそれが相手にも伝わっているということ。それが大切なのです。パートナーが自分の気持ちを理解しようという姿勢を見せていれば、それによって気持ちが和らぐのです。
良い人間関係を築くために、私たちはどうすればいいのか、そんなヒントもこの本で与えてもらえます。決してパートナーシップに限ったことではなく、家族との関係においても友人との関係においても、適用できるヒントをたくさん見つけることができます。
そして、この本で伝えたい大切なメッセージの一つが「豊かな人間関係を築くのに遅すぎることはない」ということです。今、友人が少なく孤独を感じている人も、今の人間関係に満足していないという人も、これから変えていくことができるのだということです。この本を最後まで読み終えて初めて、日本語のサブタイトルにある「幸せになるのに、遅すぎることはない」とつけられている意味が理解できました。最後にそんな心温まるエピソードが用意されているのです。
この本を読んで、今一度、家族や友人、大切な人との関係を見直してみようと思う人がたくさんいると思います。スマホを見る時間を家族との会話の時間に置き換えてみる。それだけのことで人生の満足度が変わるかもしれません。幸せになりたいと思って自分が追いかけてきたものが、実は自分を幸せから遠ざけているのかもしれないと気づくかもしれない。改めて自分の人生の時間の使い方を見直らすきっかけになるのではないかと思います。
本を読み終えた後、きっと大切な誰かと話をしたくなると思います。しばらく連絡を取っていないあの人に連絡してみようかな。そういえば、家族と最近ちゃんと顔を見て話していないな。たまには一緒に外出してみようか。そんな風に思うのではないかと思います。
ぜひたくさんの人に手に取ってもらいたい良本です。