Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

Book Club Discussion: 日系アメリカ人を主人公にした『No-No Boy』

今回は最近読んだ本の話です。先月のBookclubでディスカッションした作品なのですが、日系アメリカ人を主人公にした小説『No-No Boy』です。

 

 

こちらの本は以前にもこのブログで紹介したことがあります。私にとって思い入れのある作品です。大学生の頃に読んで凄く心に残った作品で、Bookclubに参加するようになって「いつかBookclubでも取り上げられたらいいのになぁ」と思っていました。そして、ついに念願叶ってpickupしてもらえることになったのでした!初めて私がこの本を読んだのは20年位前のことで、今は新版になって再リリースとなっています。前書きも新しく追加されているということで、改めてKindleで新しいものを購入して再読してみました。新しい前書きは同じく日系アメリカ人作家であるRuth Ozeki氏によるもの。この前書きも良くて、改めて作品の持つ力を再認識することが出来ました。

 

この作品、実はそのバックグラウンドも非常に面白くドラマティックです。作者のJohn Okadaさんは日系人アメリカ人作家ととして本を出版した最初の人。とても素晴らしい作品なのですが、1957年に出版された当初は全く読者に受け入れられませんでした。日系アメリカ人のコミュニティからすらも受け入れられず、ほとんど葬り去られそうになっていた作品でした。第2次世界大戦後のアメリカを舞台にして、主人公は徴兵を拒否して服役したIchiroが出所してきたところから始まります。彼は自分が戦争に行かなかったことを深く後悔しています。当時多くの日本人・日系人強制収容所に入れられていたことはよく知られた話ですし、収容所での体験や、日系人部隊が戦争で活躍した話などはよく語られていると思うのですが、徴兵を拒否したNo-No Boyと呼ばれた人たちのことや、日系アメリカ人同士の間であった差別について語られることは多くない気がします。Ruth Ozeki氏が前書きに書いているように、当時の日系人たちはアメリカ社会に溶け込むことに一生懸命で、作品に書かれている内容を受け入れる準備が出来ていなかったのだと思います。

 

この本が「再発見」されて認められるようになったのは、1970年代に入ってからのこと。中国系アメリカ人作家ジェフリー・チャン氏が、たまたまジャパンタウンの本屋で見つけて感銘を受け、他のアジア系作家たちと共に尽力して再出版にこぎつけた。そうしてようやく認知され受け入れられるようになったのですが、残念なのはそのほんの数か月前に作者のジョン・オカダ氏が亡くなっていたこと。その辺りの経緯も本の前書きやあとがきに書かれているのですが、読んでいて本当に切なくなります。オカダ氏の妻を訪ねていった時のことがこんな風に書かれています。

 

Dorothy is a truly wonderful person. It hurt to have her tell us that "John would have liked you." It hurt to have her tell us that "you two are the first ones who ever came to see him about his work."(ドロシーは本当に素晴らしい人です。彼女が「ジョンはあなた達のことを好きになっただろうと思います」と言うのを聞くのは辛かった。「彼の作品について聞くために訪ねてきたのはあなた達2人が初めてです」と言うのを耳にするのも辛かった)

 

結局彼が残したのはたった1冊の作品だけでした。でも、それが日系アメリカ・アジア系アメリカ文学のclassic(古典)として今もずっと読み継がれている。そんな作品の背景も作品そのものと同じくらいに印象的なのです。

 

私は20年ぶりにこの作品を再読してみて、改めて主人公の言葉の持つパワーに圧倒されたし、彼の苦悩がひしひしと伝わってきました。実は、最初に読んだ時は主人公があまりにネガティブであまり魅力的な人物と感じられませんでした。でも、当時の日系アメリカ社会で、No-No Boyとして生きていくことがどれほどに難しいことであったかと思うと、彼の絶望感は致し方ないのかもしれないと思います。それでも、色んな人物との出会いを通じて最終的には「一筋の希望」を見出します。

 

作品で描かれているのはアメリカ社会で非白人として生きていくことの難しさ。どんなに命がけで戦争で戦っても相変わらず日本人・日系人への偏見・差別が存在する事実へのやるせなさ。そしてそれゆえに、戦争に行った二世たちが、行かなかった二世たちを差別するという、差別の複雑な構造。

 

... when one is born in America and learning to love it more and more every day without thinking it, it is not an easy thing to discover suddenly that being American is a terribly incomplete thing if one's face is not white and one's parents are Japanese of the country Japan which attacked America.(...アメリカで生まれ、気がつくと日に日にアメリカを愛するようになっている。そんな中で、白い顔を持たず、両親がアメリカを攻撃した日本という国の出身である自分が、アメリカ人であると言うには恐ろしく不完全なのだということを突然に気づくのは、簡単なことではないのだ)

 

アメリカで生まれ育った二世たちは、当然のごとくアメリカを愛するようになり、自分はアメリカ人だと当たり前のように思っている。でも実は、白人の顔を持たず、日本人の親を持っていると、アメリカ人として不完全なのだといういうことをある日突然思い知らされる。Ichiroはそのことに気付けずに、間違いを犯してしまったんだと言います。戦争に行ってアメリカのために戦い、自分がアメリカ人であることをちゃんと「証明」するべきだったんだと悔やんでいる。

 

この作品は決してハッピーな話ではないし、アメリカ社会の如何ともし難い人種差別の問題を扱っているのだけれど、それでも読後感がなぜかさわやかな気がするのが不思議で、それがこの作品の魅力でもあります。絶望的な状況の中に一筋の光が差し込んでいるような感じです。作品が書かれて50年以上が経つけれど、今読んでも内容は色褪せていないし、普遍的なテーマを扱っています。一部で言われているように文章には粗さがあるのかもしれないけれど、そこに作者の「書かずにはいられなかった思い」を感じて心に刺さるのです。

 

Bookclubのメンバーたちがこの本を読んでどう思うだろうかと非常に気になったのですが、概ね好意的に受け取ってくれて、「良かった」と言ってくれたのが、まるで自分のことのように嬉しかったです。Ichiroの友人として登場するKenという人物がいるのですが、私は最初に読んだ時から彼のことが好きで、それをメンバーにも伝えたところ、アメリカ人のメンバーが同じように「私も彼が大好き」と賛同してくれたのも嬉しかった。私にとって大事な作品を、Bookclubのメンバーとシェアできたことをとても光栄に思います"。

 

もしもこの記事を読んで気になると思って下さったなら、ぜひ『No-No Boy』を読んでみて下さい。

 

 

 

7月のオンライン英語サロン

7月に入ってちょっと仕事が落ち着いてきました。先月は大学講義や企業レッスンで忙しく、Zoomで開催している英語サロンはお休みにさせてもったので、今月は久しぶりに開催予定です。いつも通りにディスカッション・クラスと音読クラスを開催します。


そもそもが月に1回しか開催していないので、ひと月お休みにしたら何だかすごく久しぶりという気がします。やっぱりないとちょっと寂しいなぁという気がしました。

 

ディスカッションは今回初めて映画についてのディスカッションです。ブック・ディスカッションは何度か開催していて、今後も定期的にやりたいのですが、本を読むのに時間もかかる。たまにちょっと違う内容のディスカッションもしたい。ということで、今回は映画についてディスカッションすることにしてみました。映画なら2時間あれば見れるし(笑)今回取り上げた映画はこちらの映画。

 


www.youtube.com

 

原作の本が有名ですが、今回はあえて本ではなく映画にしてみました。原作を読んでいたら、映画と本の違いなんかも話せるのですが、今回は映画にフォーカスして内容についてディスカッションしていきたいと思います。こちらの映画はAmazon PrimeNetflixでも見れるので、事前に鑑賞しておいてもらってのディスカッションです。色んな人物の視点から描かれているので、誰に最も共感できるかなど参加者の意見を聞けたら面白いなと思っています。

 

音読レッスンで取り上げるTED動画はこちら。

www.ted.com

 

「白熱教室」で知られるマイケル・サンデル能力主義の是非について問いかける内容。話すスピードはかなりゆっくりなので、音読はしやすいとも言えますが、単語はところどころ難しいものが出てきます。音読した後にディスカッションも予定していますが、英語で話すのはちょっと難しい内容かも?私にとってもちょっとチャレンジングですが、頑張ってやってみようと思います。

 

ちなみに次回のブック・ディスカッションで扱う本もすでに決定。参加者の意見も聞いて、みんなで投票した結果、選ばれたのはこちらの作品。

 

 

 なんと、洋書ではなくて日本文学です(笑)実は私、こちらの作品は別のブック・クラブでも読んだのですが、今回改めて読み直してみようと思います。洋書読むより難しいのではという気もしますが、果たしてどんなディスカッションになるか今から楽しみです。

 

まずは今週末の映画ディスカッションです!色々と話しが広がりそうな内容なので、こちらも楽しみです。映画ディスカッションも継続してやっていきたいなと思っています。参加者からのリクエストも受け付けながら、今後のテーマを決めていきたいと思います。

 

新しいメンバーも募集中ですので、ご興味ある方いらっしゃれば是非ご参加下さい!

 

 

 

 

オンライン授業のいろいろ

最後のブログ更新から気が付くと早1か月が経過しています。5,6月はレッスンが盛りだくさんでブログを書く余裕があまりないのでした・・・。臨時で引き受けた大学講義は対面レッスンが再開になれば私は担当を降りることになっていたのですが、結局「今期はこのまま最後までオンライン開催で」ということになり、最後まで担当することに。学生にとっても途中で先生が変わるよりも同じ先生で受けれる方がいいかなとも思うので、まぁ良かったのかな?そんな感じで大学2校でレッスン教えつつ、並行して新しい法人研修のレッスンも始まったもので、なんだかんだと慌ただしくしています。全てZoomレッスンですが、Zoomの使い方にもずいぶん慣れてきて進行もスムーズに出来るようになってきました。何度かレッスン直前にPCがフリーズするというハプニングに見舞われて心臓バクバクでしたが、今のところレッスン中にフリーズすることはないです。私に限らずリモートワークしている多くの方がそうかもしれませんが、PCないと仕事出来ないというのはある意味で不便です。いかにITに依存しているかと考えるとちょっと怖い気も・・・。

 

普段教えているマンツーマンレッスンと違って、大学の講義や法人研修では生徒さん10名以上のクラスを教えます。30人、40人のクラスもあるので、10名だとまだ少ない方。教室レッスンのように板書が出来ないので、パワーポイントのスライドを画面共有したり、リスニング問題で音声共有したり、色々と忙しいです。最初の頃はうっかり共有忘れて話してたりというミスがありましたが、そういうのはなくなってきました。忘れないようにPC画面の下の方に色んなメモを貼っています。

 

去年Zoomレッスンしていた時はモニター2つでレッスンしていたのですが、今年は途中からシングルモニターに変更しています。最初はデュアルモニターの方が便利!と思ってたんですが、実はシングルにはシングルの利点があるのです。やってみて気付いたシングルモニターの利点はこんな感じ。

 

①正面の画面をずっと見ているので受講生とアイコンタクトがとれる。

(2画面でやると隣の画面を見るので横向いてしまう。)

②画面共有を停止するとスライショーが消えてZoom画面に切り替わるので、シェアし忘れが減った。(2画面だとサブの画面にスライショーが表示されたまま。)

③自分も1つの画面に集中できてわかりやすい。

 

意外とシンプルな方が使いやすいということに気付きました。スライドもそうですが、凝りすぎるとかえって分かりにくくなったりします。受講生もテキスト見たりスライド見たりと忙しくなるので、画面は共有しっぱなしにはせずに時々消すようにしています。スライドなしにして先生の顔が画面に出るとちょっと安心する気がします。最初は、シングルモニターでパワーポイントのスライドショーをかける時にPC画面下のタスクバーが消えてしまうことに困っていたのですが、便利なショートカットキーを発見!Ctl+Tでタスクバーが表示されるのです。これはかなり便利です。そのおかげでシングルモニターでのレッスンが実現できたと言ってもいい位!

 

ただやっぱりオンラインレッスンは慣れが必要。便利な機能はいっぱいあるので上手に駆使すればより質の高いレッスンが出来ますが、使いこなすためには練習もたくさん必要です。小中高などの教育現場でなかなかオンラインレッスンが導入出来ていないようですが、実施するにしても教師によってオンラインレッスンに必要なスキルの習熟度が大きく違う。これは大学の授業でもそうですが、高齢の先生ほどPC苦手な方が多かったりもします。パワポ資料作るのも大変だし、そうでなくても忙しい学校の先生たちにとって、オンライン授業はなかなかハードルが高いのかもしれません。

 

ちなみに私はフリーランスの英語講師。去年も今年もそうですが、「オンライン授業は出来ません」と言うとほとんど仕事がないです。今こうしてレッスンで忙しくできているのはオンライン対応できるからこそ。去年は休養のために仕事減らしてましたが、今年は仕事がんばるぞと思っていたので、今こうして仕事できているのはありがたいなぁと思っています。

 

しかしさすがに翻訳にまでは手が回らず、先月久しぶりに来た翻訳案件はお断りしてしまいました・・・。来月になったらちょっとコマ数が減るので、そしたらまた出来るかな。でも、そうすると今度は仕事が来なかったりして(笑)ま、どうなるかわかりませんが、体調管理しながらお仕事がんばりたいと思います!

 

 

ブッククラブレポート『The Vanishing Half』

先日は私が所属しているBookclubのオンライン・ミーティングでした。今回の課題図書はこちらの本でした。

The Vanishing Half: A Novel (English Edition)

The Vanishing Half: A Novel (English Edition)

 

 vanishというのは「消える」という意味。定冠詞のtheがついて名詞halfにかかっています。双子の姉妹の話なのですが、タイトルからもわかる通り双子のうちの一人が行方不明になっているのです。

 

物語の舞台はアメリカの小さな町。おそらく実在しない架空の町だと思うのですが、黒人ばかりが住む町です。黒人なのだけれど肌色は白くて、一見すると白人と見間違えるような人たちばかり。主人公の姉妹も、何も知らない人が見れば黒人の血が流れているとはわからない。そんな二人がある日こっそり町を出ていくのです。優等生の姉と自由奔放な妹。対照的な性格のふたりですが、小さな田舎町を出て外で暮らそうと言い出したのはやはり妹の方でした。最初は妹の言葉を本気にしていなかった姉なのだけれど、結局は町を出る計画を決行することに。そして、その後ふたりが辿る人生は思いがけないものになっていきます。

 

物語の最初は、消えていた双子のひとりが町に戻って来るところから始まります。戻ってきたのは妹の方。田舎町をあんなに嫌がっていた妹が町に戻ってきたのには理由があります。彼女は町を出た後に黒人の男性と結婚をして娘を生みます。ところが夫が次第に暴力を振るうようになり、そこから逃れるためにまだ小さな娘の手を引いて家を抜け出し故郷の町に戻ってくるのです。生まれた娘は母親とは全く違って真っ黒な肌をしています。町の人たちは、「消えていた双子のひとりが真っ黒な女の子を連れて戻ってきた」と噂で持ち切りになります。そこから物語が始まり、少しずつ二人の失踪の経緯や、町を出た後の出来事が語られていく。でも、双子の姉はどこにいるんだろう?一緒に町を出たのに、どこに行ってしまったのか?

 

実はある日突然、妹にも何も告げずに姿をくらましてしまったのです。いなくなった姉の居所を突き止めようと妹は色んな手を尽くすのですが、所在がわからないまま年月が過ぎていきます。そして、物語は成長した娘の物語へと次第に移り変わっていきます。そして、失踪した姉の物語、姉の娘の物語へと広がり、さらにはふたりの娘たちが出会っていく。まるでちょっとしたミステリーのような展開で、読んでいて飽きることがない、最後まで読者をひきつけていくストーリーでした。

 

黒人男性と結婚した妹とは対照的に、姉の方は白人男性と結婚して真っ白な肌の娘を生みます。しかも、姉は白人と偽って生きているのです。過去を全て封印して、家族との関係も断ち白人として生きることを決めた姉。ふたりの人生は対照的なものになります。そしてそれぞれの娘たちもそれぞれの苦悩を抱えて生きている。

 

詳細は割愛するので、ぜひ読んでみてもらえればと思うのですが、アメリカで白人として生まれるのと黒人として生まれるのとでこれ程に人生が違ったものになるのかということをまざまざと見せられ、考えさせられます。私たち日本人にはなかなか理解しづらい人種問題について、いろいろと気付かされることがたくさんありました。

 

Bookclubのディスカッションでもやはり人種問題についてが話題に上がりましたが、白人として生きることを選んだ姉が、経済的な豊かさを得た一方でいかに多くのものを失ったかに驚かされたという意見がありました。誰とも本音で語り合うことが出来ないのは、本当に孤独なのです。自分の家族のこと、子供時代のことを何一つ話すことが出来ない。偽りの過去と偽りの自分を生き続けることの辛さを思うと、本当の幸せとは何だろうかと考えさせられます。

 

双子の姉妹とその娘たち、4人の人生を描き、時代も行ったり来たりするのでちょっとわかりずらい点もあるのですが、とても面白い作品でした。Bookclubの議論も大いに盛り上がりました。ディスカッションでどんな話が出たかなど、またもう少し書ければと思うのですが、今大学の仕事がどんどん忙しくなっていて、じっくりブログを書く余裕がなかったりします。でも、本はとても良かったのでお勧めです。良かったら読んでみてくださいね~。

 

 

 

大学もオンライン授業です

緊急事態宣言が発令されて、大学にもオンラインレッスンの実施要請が出ています。私が担当予定の大学講座は来月開始のコースなので、オンラインになるのか対面レッスンになるのかまだはっきりしたことが決まっていません。ただ、今の状況を見ていると、すぐに緊急事態宣言を解除するのは難しいのではないかなと思っています。そんな中、別大学のTOEIC講座を急遽引き受けることになって、つい先日が初レッスンでした。こちらは当然オンラインレッスンです。元々は対面で実施予定のコースだったのですが、急遽オンラインで実施することになり、担当予定だった先生がオンラインレッスンができないということでピンチヒッターを務めることになりました。実は去年の春も同じような感じでピンチヒッターでレッスンに入ったのでした。オンライン苦手という先生結構いらっしゃるようです・・・。

 

大学側も今後どう対応していったらいいのか悩んでいるよう。去年の春教えに行った大学も、しばらくオンラインレッスンを実施した後で対面レッスンに切り替えになりました。なので今行ってる大学も今後どうなるか分かりません。教えに行く側としてはオンラインで教えるのと教室まで教えに行くのとではスケジュールの組み方が変わってきます。別の企業レッスンのお話もきているのですが、こちらもオンライン実施の予定ですが途中で対面レッスンに切り替わる可能性がゼロではないとのこと。そうすると対面に切り替わることも考えたうえで仕事を引き受けないといけないのでちょっとややこしい。

 

対面レッスンには対面ならではの良さがあると思うのですが、やはり今の状況ではちょっと不安にも感じます。オンラインでできるほうが私も安心。そしてやっぱり通勤がないのは体力的にかなり楽です。移動時間というのは結構大きなタイムロスになります。ひとつの大学でひとコマ90分の授業を教えて、その後1時間かけて別の大学に移動してまたひとコマ90分の授業を教えて、さらに1時間近くかけて帰宅する。仕事をしている時間よりも移動してる時間の方が長いなんていうことにもなってしまい非常に効率は悪いです。う~ん、どうしたものか。

 

1年前の今頃は「来年の春にはもう少し状況は落ち着いているんだろうな」と想像していたのですが、相変わらずの緊急事態が続いています。withコロナの時代がこんなに長く続くとは・・・。早く終息してほしいと思いますが、今後がどうなっていくのかまだ予測ができません。コロナ禍でできることというのを模索していかないといけないですね。コロナが終わったらではなく、今何ができるか、コロナ禍でできることを見つけていかないといけませんね。色々とストレスに感じることもありますが、前向きに対応して新しいことを学んで、新しい楽しみや新しいライフスタイルを見つけていかないと駄目なのかも。考えさせられることも多いです。

 

ちなみに去年の春以来の久しぶりのオンライン講義、初回レッスン前はちょっとドキドキしましたが始まってみるととても楽しく授業ができました。去年に比べて学生たちもオンライン授業に慣れてきている印象です。若い子達の方がITスキルは高いし柔軟性もあるので、大人の方がオンラインに戸惑っているのかもしれないです。私は以前からSkypeでレッスンしていたりしてオンラインレッスンにある程度慣れていたので良かったですが、オンラインでのレッスンに慣れていない先生にとってはいきなり大人数のクラスをオンラインで教えるのはハードルが高いのかもしれません。そう考えるとオンラインレッスンやっといて良かったなと思います。元々決してPCが得意なほうではなかったのですが、使っているうちにちょっとずつ慣れてくるものです。パソコン苦手と言っていると仕事ができない時代です。afterコロナにも活かせるようなスキルをこの機会に身につけておこうと思います。


取り敢えずGWは家で過ごすことになるので、Netflixで映画やドラマを見たり、Kindle本を読んだりして過ごしています。でも、そればっかりだと目が疲れてしんどいので、もうちょっと身体を動かす習慣を身に付けないとなぁ。ヨガは続けていますが、在宅ワークで筋力体力が低下しているような気もします。たぶん多くの人がそうなのでは?身体がスッキリしないことや頭痛に悩まされることが増えているような気も。ちょっと考えないといけないなぁ。

ところで、最近Kindleでダウンロードして読んでいるのがこちらの本。

スマホ脳(新潮新書)

スマホ脳(新潮新書)

 

 

ずっと気になっていた本なのですが、面白い!そして怖くもあります。今の時代だからこそ読みたい1冊です。やっぱり本も電子書籍より紙の本の方がいいよなぁと思いつつKindleで読んでいるんですが(笑)スマホやPCがなくてはならない時代になっていますが、だからこそ意識してたまにはデジタルデトックスしないといけないなぁと改めて思いました。コロナの状況も気になるので、スマホでニュースチェックしたりしますが、家に居る時間が長くなると無駄にスマホチェックしてしまうことが増える気もします。スマホがそこにあるだけで注意散漫になるようなので、すごい威力。

 

無意識に流されて生きていると、気が付くと何かに支配されて生きているのかもしれない。情報が溢れる世界で、情報に振り回されているのかもしれない。たまにはちょっと立ち止まって、いろいろなことを見直してみることも必要ですね。意識的に生きることって大事だなぁと思います。そのためにもたくさん本を読んで知見を広げつつ、自分の頭で考えて選んでいくということが必要かな。自分の人生を自分で創っていきたいです。

 

 

 

 

Netflixを活用した英語学習法~リスニング編~

最近Netflixに加入して海外ドラマや洋画・邦画など色々と楽しんでいるのですが、今日は英語学習にNetflixを活用する方法について書いてみようと思います。オンラインレッスンを受講してくれている生徒様から、「リスニングアップにNetflixをどう活用すれば良いか」というご質問を頂いていました。その答えにもなればと思います。

 

ご相談いただいた生徒様は英語字幕で海外ドラマを見ているとのことでした。でもそれでリスニング力のアップにつながるのかどうか疑問に思うということ。実は別の生徒様からも似たような質問があり、その方はYouTubeの動画を見る時に英語字幕で見ているとのこと。「それでリスニングの練習になりますか」というご質問でした。NetflixでもYouTubeでも、「英語のリスニング練習をするのに英語字幕を見ながら聞いて練習になるのか」ということがポイントです。私の感想としては、最初から英語字幕を出してしまうと英語のリスニング練習には効果的ではない、というのが結論です。なぜそうなのか、どうすれば効果的なリスニング練習になるのか考えてみたいと思います。

 

TEDを使った音読トレーニングをする時にも生徒様に同じようなことをお話しするのですが、最初から英語字幕を見てしまうと文字を追うことに意識が向いて音を聞くことが疎かになってしまいます。英語を聞くよりも英語を読むことの方に意識が向いてしまう。それだと英語のリスニング練習にはあまりなりません。リスニングの練習をしようと思うなら、まずは字幕なしで英語を聞き取る練習をする必要があります。一語一句聞き取れる必要はありません。キーワードを上手く拾って全体の流れを捉えられることがまずは大切。理想としては、まずは字幕なしで英語音声のみで聞き取り、それから英語字幕を確認するのが良い。ただそうすると問題点があります。どうしても聞き取れない部分や、自分の知らない単語や表現が出てきたりもします。TEDやYouTubeの動画など短めのものを使ってリスニング練習をするにはそれでも良いと思うのですが、海外ドラマを見るとなると、分からない部分が出てきてストーリーを楽しめなくなってしまう可能性もあります。海外ドラマを見るのは英語学習のためだけではなく、ドラマ自体を楽しむ目的もあると思います。ストーリーをちゃんと追えなくなってしまっては、好きなドラマを楽しめなくなってしまいます。じゃあ、どうすれば良いのか?

 

私のおすすめは、まずは日本語字幕で見ることです。そうするとストーリーをしっかり追うということをしつつ、同時に英語を聞き取る練習にもなります。最初に英語字幕を出してしまうと、英語の文字を読みつつ英語を聞くことになるので、答えの分かっているリスニングをすることになります。そして知らない単語や表現があった場合、やはり内容を理解できなくなる可能性があります。一方、日本語字幕だとストーリー展開をしっかりとおさえつつ、なおかつ英語では何と言っているかと音を聞き取る練習になります。日本語を読むことと英語を聞くことを同時にすることになりますが、母国語である日本語を読む方が英語字幕を読むよりも楽に読むことができます。なので英語字幕を読みながら聞くよりも負荷は少なくて済みます。その上で気になる表現があったり、英語が聞き取れない部分があった場合は、英語字幕に切り替えて確認する。ドラマの途中で巻き戻して確認してもいいですし、最後まで見終わった後に気になったシーンを見直して確認してもよい。それはお好みでしょうか。

 

いろんなやり方があるとは思いますが、多聴の一環として海外ドラマを活用するならば、聞き流しでも良いと思うのですが、しっかりリスニングアップにもつなげたいと思うのであれば、繰り返しも必要になってきます。理想的には3回ぐらい同じものを見る。1度目は日本語字幕、2度目は英語字幕、そして最後に字幕なしで見る。上級レベルの方はいきなり字幕なしでチャレンジしてみるのもありです。ちなみに私は日本語字幕で内容を確認しつつ英語のリスニングをすることが多いです。ドラマにもよりますが、『フレンズ』のようなシットコムなんかは比較的わかりやすいので字幕なしで英語で見たりしますが、私の好きな『メンタリスト』なんかは難しい表現も沢山出てくるので英語だけだと理解できない部分が出てきます。そのあたりも含めてケースバイケースで聞き方を変える必要はあるかと思いますが、日本語字幕で見るか字幕なしで見るかどちらかが良いのではと思います。

 

とはいっても同じものを3回見るというのは時間もかかりますし、早く次のエピソードが見たいと思うなら、そんなに何度も見ていられないですよね。その場合は好きなシーンのみ繰り返しリピするというのもありです。その時の気分でちょっとやり方を変えてみるのも良いかもしれませんね。1回しか見ないという場合は、ドラマの難易度や自分の英語力に合わせて、字幕なしで英語のみで見る、もしくは日本語字幕で英語を聞き取りつつ見る、そのどちらかになるかと思います。英語字幕にするのは2回目以降にしてくださいね!

 

音読トレーニングをする時もそうなのですが、英文を見ながら音声を聞いていると、文字に気を取られて英語をちゃんと聞かなくなってしまいがちです。リスニング練習の際には、英文なしで音声を聞くということを必ずして下さい。

 

ということで、今日はNetflixを活用してリスニング力をアップする方法について書いてみました。

 

Zoomにて音読トレーニングを実施しています。効果的な音読トレーニング方法を知りたいという方は是非ご参加してみて下さい。

peatix.com

 

 

ブック・ディスカッション~The Alchemist~

先日は生徒さんとのブックディスカッション。課題本はパウロ・コエーリョの『アルケミスト』でした。

The Alchemist

The Alchemist

 

 

 

実は私はこの本を読むのは3回目。初めて読んだときは日本語で、そしてその後に英語で再読し、今回ブック ディスカッションのために再び英語で読みました。ちなみに原書はポルトガル語です。どちらにしろ原書では読めないので、日本語で読んでも英語で読んでもいいという気がしますが、シンプルな英語で書かれているので、英語学習者には是非英語で読んでみて欲しい。 英語はシンプルですが書かれている内容はとても深いです。私も3回目に読んでみてまた新しい発見がありました。良い本というのは読み返す度に新しい気付きがあるように思います。

 

ストーリーはとてもシンプルです。羊飼いの少年が夢の啓示に従って宝探しの旅に出る。King of Salemと名乗る不思議な老人や、錬金術師(アルケミスト)の助けを得て、少年は自分の夢を叶える旅に出るのです。所々でとても印象的な言葉が出てきます。 ファンタジーでもあるのですが同時にちょっとスピリチュアルな内容でもあります。そういうのが苦手な人には向かないかもしれませんが、普遍的なテーマを扱った内容だとも思います。 

 

作中で私が気になった表現をいくつか紹介してみます。

 

錬金術をマスターしようとして失敗に終わる人たちについてアルケミストが言います。

They were looking only for gold. They were seeking the treasure of their Personal Legend, without wanting actually to live out the Personal Legend.

彼らは金だけを探していたのだ。 夢の宝を求めていたが、自分の夢を実際に生きようとしていなかった。

 

物語の大きなテーマは Personal Legendを生きるということ。この Personal Legendというのは何なのか。 直訳すると「個人の伝説」ということになりますが、物語の中の言葉などから解釈すると「夢」ということなのかなと思います。もしくは「使命」と言っても良いのかも。上の文章、とてもシンプルな表現で難しい単語は何一つ出てきません。でも、この文章が伝えようとしていることは何なのだろうか?そんな風に考えるととても深いメッセージがあるように思います。

 

今回3回目に読んで、錬金術(alchemy) というのは一体何なのかということを改めて考えさせられました。 鉛を金に変えるというのはどういうことなのか。 なぜこの本のタイトルがアルケミストなのか。 1度目2度目に読んだ時にはあまり考えなかったことです。

 

They (Alchemists) show that, when we strive to become better than we are, everything around us becomes better, too. 

錬金術師は教えてくれる。私たちがより良い存在になろうと努力する時、私たちのまわりの全てもまた、より良いものに変わるのだということを。 

 

これもまたとてもシンプルな表現ですが、伝えようとしているメッセージはとても深いと思います。この言葉をどう解釈するのか、この物語を通して作者が伝えようとしていることは何なのか、自分の夢を生きるというのはどういうことなのか、そんな話を作中の文章を引用しつつ生徒さん達と色々とお話することができました。goldを手に入れるという結果よりも、その過程で自分が成長し、そしてそれが周囲の人たちも変えていく。それがalchemyなのかなと思います。手にするのは金という宝ではなくて、成長した新しい自分自身なのではないかな。

 

自分がやりたいこと、叶えたい夢があるのになかなか一歩が踏み出せないという人の背中を押してくれる、そして一歩を踏み出して夢のために頑張っている人を励ましてくれる物語です。おすすめの本なのでまだ読まれたことがない方は是非一読してみてくださいね。

 

今回でブック・ディスカッション2回目でしたが、参加してくださった生徒さんたちも楽しんでくださったようで、また違う本についてディスカッションしようということになりました。あれこれと悩んだ結果、次回の本はこちらに決定。

 

  

 

かなり有名な作品で映画にもなっていますし、ドラマにもなっています。なのでストーリーを知っている人は多いと思いますが、あえて英語の原書で読んでみることをおすすめしたい。原書ならではの気づきがあると思います。本を読むのに少し時間が欲しいということで、次回のブックディスカッションは5月に開催予定です。5月は私が参加している英語のBookclubもあるので、私はまずはそちらの本を読まなきゃいけない。忙しいですが、こうして本について語り合えるのは楽しいので、私もがんばって読んでいきたいと思います。

 

ちなみに来週木曜日は音読トレーニングを開催します。先月に引き続きTED Talkを使った音読+ディスカッション。お申込み受付中なので、是非ご参加下さい!

 

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