現在公開中の映画『Fukushima 50』のもとになったこちらの本を読みました。
ドキュメンタリーなのですが、まるで小説を読んでいるかのように引き込まれます。あの日、あの時、あの場所で、一体何があったのか。ページをめくる手が止まらなくなる。そして、読みながら何度も、涙で文字がかすむ。これはフィクションではない。本当に起こったこと。極限の状況で、あの場にいた人たちがどんな思いで闘っていたのかと考えると、読んでいて辛くなる。そしてまた、ほんの少しでも何かが違っていたら、日本はもっと酷いことになっていた。そんなぎりぎりのところで最悪の事態が回避されたのだと思うと、本当に、今私たちがこうして生きていることが奇跡のようにも感じます。
でも一方で、ほんの少し何かが違っていたら、あのような事故はそもそも起きなかったかもしれない。福島があんなことにならずに済んだのかもしれない。でも、事故は起きてしまった。起きてしまった事実を受け止め、そのことをしっかり見つめていくために、私たちは「あの時何があったのか」知らないといけない。
この作品、英語版も出版されています。 日本人だけでなく、海外の人にもぜひ読んで欲しい作品です。
読んでいる間も、読み終わった後も、心がひりひりする。圧倒的なパワーがある。色んなことを思い、色んなことを考えさせられました。映画も見たいなと思いますが、カットされている部分もたくさんあると思うので、原作もやっぱり読んで良かったと思います。もうちょっとちゃんと本の感想も書きたいのだけど、うまく考えをまとめられない。言葉にしようとすると、何だか途端に薄っぺらくなってしまいそうで、ならば何も言わない方がいいのかもという気もします。ただ、自分の在り方を考えさせられたし、自分にできることは何だろうかと考えさせられました。
3.11の追悼式が新型コロナの影響で中止になったのは残念ですが、それぞれにあの日のことを思い出して、復興に向けて出来ることを改めて考えていきたい。原発も、賛成か反対かという単純なことではない。脱原発できればその方がいいのだろうけれど、じゃあ今の日本でどう電力を確保するの?という問題もある。地球温暖化が進む中、CO2削減も考えなくちゃいけないわけで、物事はそうシンプルではない。でも、そうやってそれぞれが考える、問題を意識することが大切なんじゃないかと思うので、そのきっかけとしてこういう本や映画があるのは良いと思う。
もう少しコロナ騒動が落ち着いたら映画も見に行きたいな。でも、今は劇場すいているのではという気もするので、あえて足を運んでみるのもいいのかもしれません。
佐藤浩市×渡辺謙主演!映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)予告編