Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

静かに流れる時間に心が癒やされる、映画『日日是好日』

外出自粛が続く中、時間はたっぷりあるので、この1、2ヶ月でかなりの映画を見ています。洋画も日本映画もどちらも見ていますが、最近見た中で特に心に残ったのが、茶道をテーマにした映画『日々是好日』です。

 

日日是好日

日日是好日

  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Prime Video
 

 

実は劇場公開された時から気になっていた映画でした。映画の原作になっているのが森下典子さんのエッセイ『日日是好日「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』。
実は随分前にこの本を読んでいたので、映画化されたと聞いた時には正直ちょっと驚きました。エッセイを映画化するって一体どんな感じなんだろう?そして実際に映画を見てみると、じんわりと心にしみる良い映画。樹木希林さんはもちろんですが、黒木華ちゃんが演じる等身大の主人公がとても良い。
 
映画公開当時の森下典子さんのインタビュー記事 森下典子さんに聞く、映画「日日是好日」の楽しみ方と茶道具の秘密|さんち 〜工芸と探訪〜の中で、彼女は映画についてこんな風に言っています。
 
事件は何も起こりません。サスペンスの要素もないし、淡々とした映画ですが、その静けさが良いのだと思っています。
 
人によっては退屈と感じるのかもしれませんが、私は映画の中に流れる静かな時間に心が洗われるような気がしました。大きな事件は起こらなくても、誰もが人生の中で経験する迷いや、悩み、大切な人との別れといったで出来事が描かれる。誰にでも起こる出来事だからこそ、見る人は自分を重ねることができるのではないかなという気がします。そして、茶室の中で流れる静かな時間が主人公にとっての救いとなるように、今いろいろと不安やストレスを溜めがちな私たちにとっても、心を落ち着かせて日常を見つめ直すきっかけや、ちょっとした癒しの時間になるように思います。
 
インタビューの中にも紹介されていた原作のまえがきの一節、映画の中でも紹介されていますが、ここでも紹介しておきます。
 
世の中には、『すぐわかるもの』と、『すぐにはわからないもの』の2種類がある。すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。けれど、すぐに分からないものは、何度か行ったり来たりするうちに、後になってじわじわとわかりだし、「別もの」に変わっていく。そして、わかるたびに、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片に過ぎなかったことに気づく。
 
人はつい「すぐわかるもの」を求めがちになってしまう。でもすぐにわかるものは、すぐに飽きられてしまうのも事実。せっかちにならずに、時間をかけてじっくりと味わうものの方が、分かった時の感動は大きいような気がします。茶道に限らず日本の伝統文化にはそういったものが多いように思います。日本人ならではの繊細さがそこにはあるような気がします。茶道のベースにある禅の思想もまた、日常の中に大きな学びや気づきを見出そうとします。一杯の茶碗の中に世界を見るように、小さなものの中に大きな何かを見出そうとする。
 
おうち時間が増えて、単調な毎日になってしまいがちですが、日常の中に実はいろんな気づきが隠れているのかもしれません。普段気に留めずにしていること、日常のささいな出来事に、いつも以上に心を込めてみると、新鮮な発見や気づきがあるかもしれません。そんなことを改めて感じさせてくれる映画でした。
 
そして映画に触発されて、家にあった古い本を再読しています。

  

 

 私が持っているのは、日本語と英語両方収録のものなんですが、Amazonで見つからなかったので、とりあえず別々のものを貼りつけ。

 

そして、昔癒しを求めて買った(笑)こちらの本。

 

ふっと心がかるくなる禅の言葉 (コスモ文庫)

ふっと心がかるくなる禅の言葉 (コスモ文庫)

  • 作者:宮下 真
  • 発売日: 2006/05/01
  • メディア: 文庫
 

 

日日是好日

どんな日もかけがえのない一日。

晴れの日も、雨の日も、コロナの日も、一日一日を大切に生きてみよう。