Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

セミナーに参加してきました

通訳翻訳学校が主催するセミナーに参加してきました。

 

と言っても内容は通訳や翻訳のスキルについてではなく、製薬業界についての内容。新薬がどのように作られるか、それを私たちが使えるようになるのにどんなプロセスを経るのか、そしてその過程でどう通訳や翻訳の仕事が発生するのかといったお話。普段あまり意識することのないお薬の話とても興味深かったです。色んなお薬を当たり前のように使えている日本というのはとても恵まれた国だなぁと思いました。そして、薬を必要とする患者さんのもとにそのお薬を届けるために、いかに通訳や翻訳が大切かということも痛感しました。

 

印象的なお話はたくさんあったのですが、中でも心に残ったこと。製薬会社でも英語の堪能な方はたくさんいらっしゃる。それでも、ここぞという大切な時には必ず通訳を使うとのこと。なぜなら、重要な話をする時に母国語でない言語を使うと、そこに余計なエネルギーを取られてしまう。だから、一番大切な仕事に集中するために通訳を使うのだと。そして、通訳の存在があったからこそ出来たこと、通訳なしには成り立たなかった、というようなことが何度となくあるのだと。私は通訳者ではないけれど、そんなお話を聞いて、改めて通訳という仕事をしている方を「凄いなぁ」と心底思ったのでした。現場にいる人達のそんな思いを受けてその場に立たれているわけです。プロの通訳者さんってはやっぱり凄い。

 

そして、立ち位置は違えど翻訳者もやはり重要な役割を担っている。セミナーの後にちょっとした懇親会があり、講演者と直接お話をする機会があったのですが、私の未熟な素朴な疑問に丁寧にお答え下さりました。機械翻訳のことや、求められるスピードなどについてお聞きしてみたのですが、ここでもとても印象に残るお答えを頂きました。実は、セミナー後の質疑応答でも参加者のお1人が「日英翻訳の場合、日本人の翻訳者とネイティブ翻訳者とどちらが好まれるか」と言った質問があり、その時のお答えも同じものでした。当たり前と言えば当たり前の答えかもしれませんが、「とにかく質が大切」ということ。日本人であろうが外国人であろうが、人間だろうが機械だろうが、「とにかく質の高いものを求めている」ということです。スピードに関しても、翻訳の内容によっては急を要することもあるだろうけれど、大事なもの、「ここぞ」というものについては「時間がかかってもいいので質の高い物」が欲しいと。もちろん発注者によっては「コストを抑えたい」とか、「とにかくすぐに欲しい」というような方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一貫して「質重視」と言われる方もいるわけです。

 

これまで翻訳の雑誌やネットで色んな情報を得たり、スクールの先生方やスタッフから色々とお話をお伺いしたりしてきましたが、現場にいらっしゃる方からこういう形でお話を伺うのは初めてのことでした。受注する側ではなく発注する側の方からお話を聞かせてもらって、いかに「通訳・翻訳が重要な役割を果たしているか」ということを肌で感じられたのはとても良い経験でした。通訳者の場合は現場に入って仕事をされるので、そういった現場の思いや手応えを感じることも多いかもしれませんが、翻訳者は見えないところで仕事をしているのでなかなか感じにくいように思います。今回お話をお伺いして身の引き締まる思いでした。

 

私は医療翻訳に携わっているわけではないですが、今後そういう方向性も模索してみようかと思っているので、とても勉強になりました。そして、分野は違えど、今お引き受けしている翻訳の仕事も、発注された方々、私の英語を読む人たちのことを思って良い仕事が出来るように頑張りたい。

 

今回、さらに翻訳会社のコーディネーターさん達も皆さんご出席されていて、ご挨拶させて頂くことが出来ました。いつもメールでのやり取りばかりなので、一度直接お会いしたいと思っていて、この機会にお話できたのは嬉しかった。「あぁ、あなたが〇〇さんですか!」という、ある意味オフ会のような感動(笑)やはり相手の顔がわかると何だか安心感が生まれますね。まだまだ駆け出しの新米翻訳者ですが、これから「〇〇さんに是非お願いします」と言ってもらえるような仕事が出来るように、精進していきたいと思います。

 

 

 

TOEICリーディング篇

先日受けてきたTOEICの感想の続きです。今回はリーディングセクションについて。

 

毎回リーディングセクションは割とギリギリで終わるのですが、今回は何と最後の2問をぬり絵してしまいました。終了時刻が15:01分とのことだったので、時計を見ながらギリギリで終わるかなぁと思っていたら、どうも私の時計がちょっとだけ遅れていたようで、最後の2問を解く前に「時間です」のアナウンスが。咄嗟に適当なマークをして終えるという結果になってしまいました。残念・・・。こういうことも考えて、もうちょっと早めに終えるようにしとかないとダメですね。久しぶりに受験したからか、思った以上に読解に時間がかかった気がします。

 

パート別の感想としては、パート5、パート6は、比較的に順調に解くことが出来たと思います。この辺りは普段から対策講座を教えているのことがプラスになっているように思います。とは言え、全問正解しているかというとそうはいかない。語彙問題で迷ったものが何問かあります。これまでも語彙問題で落としているので、今回もその可能性あり。必ず迷う問題が入っています。時間配分はそう悪くはないはずで、十分に読解に割ける時間があったのですが、思ったよりも読み解くのに時間を取られてしまいました!

 

パート7の読解問題ですが、冒頭からいきなり悩む問題が。最初のシングルパッセージだったと思いますが、どこに答えが書いているか見つからない!TOEICの読解ってそんなに難しい内容ではないんですが、設問の答えがどこにあるのかすぐに見つけられないことがあります。ダブルパッセージやトリプルパッセージでも「そこか?!」というようなところに答えのヒントがあったり。英検の場合はロジカルに読み解いていくんですが、TOEICはそういうロジカルな読み方ではなくて、とにかくたくさんの量の英文を限られた時間で読んで情報を処理していくスピードが大切です。それがシンドイのです。そして今回改めて、「悩んだ問題に時間をかけすぎずに次に進む」ことの大切さを痛感。学生にも改めて言っておかないと!

 

ただ、やはりTOEIC対策教えていることもあって、複数文書を読む問題などは特に、文書の関連付けの仕方やどういうところを見るといいのかはちょっとわかりやすかったかな?メールの件名を確認したり、日付をチェックしたり、そういう細かいところが大切だったりもします。記事文の日付とか、そこがヒントになってたりします。でも、正直そういう問題ずるいなぁっていう気もするんですよね。なんかちょっとパズルみたいな、テストというかちょっと意地悪なクイズみたいな気もしませんか?

 

翻訳の仕事も始めて、読解の授業も教えていたりもして、以前よりも読解力は上がっていると思うのですが、TOEICはまた違うスキルだなぁと思います。深く掘り下げて読むよりも情報処理的な要素の方が強い。そこが私は苦手だなと思います。でも、TOEICの英文はやはり良い英語で書かれているとも思います。なので、ザクッと読んで終わりにするのはもったいない。アウトプットで使えるようにしていきたいと思います。でも、スコアアップにはあんまり関係ないのが残念だな(笑)

 

取り敢えず、どんな結果が出るか待とうと思います。下がってそうで嫌だけど(笑)

 

 

2年ぶりのTOEIC

第242回TOEICを受験してきました。約2年ぶりの受験でしたが、手応えは全くなし。多分スコア下がってる気がします。とは言え、900点台を切りはしないと思いますが、900点台前半に終わるかもしれません。最後に受けたのが2年ちょっと前なので、いつもどんな感触だったのかあんまりはっきり覚えておらず。なので、何とも言えないのですが…。あまり良い感触ではないなぁ。

 

自分の英語力が落ちているとは思いませんが、集中力、情報処理スピードは落ちていると実感します。これは年齢のせいでしょうか…。同年代の友人とも話していて、やっぱり「年々、TOEICがしんどくなってくるよね」と意見が一致します。今回改めて、やっぱりTOEICは「英語力+TOEIC力+集中力(精神力)」ということを実感した次第です。TOEIC対策教えているので、TOEIC力はそこそこあると思うんですが、 人に教えるのと自分が実践するのとはまた別ですね。それに私が教えるのは大抵初級レベルだったり600点対策ぐらいだったりするので解き方のコツも変わってきます。

 

さて、久しぶりに受けたTOEICテスト。一応各パート私が受けた印象をまとめておこうと思います。

 

まずはパート1。このセクションは問題数6問しかありませんが、やっぱりここでしっかり点数を取っておきたい。生徒達にもいつもしっかり攻略するようにと話しています。今回難易度はそれほど難しいとは感じませんでした。対策授業を教える時には、このセクションでは現在完了形と現在進行形に注意という風に話をしていますが、やはり今回も完了形の表現が出てきていました。しめしめといった感じ。

 

Part 2は久しぶりに受けたからなのか、これまでよりも聞き取りにくく感じました。 答えにちょっと悩んだ問題もあります。このセクションは冒頭部分をしっかり聞き取ることが大事なので、そこはしっかり押さえたのですが、その後の内容が聞き取りにくい時がありました。正解は選べたんだけれどもしっくりこない問題があったり。今までもそうだったかな?何問か落としていそうな気がします。なんか捻った問題が増えてるのかな?英語がちょっと聞き取りにくく感じたのは私のリスニング力の低下?

 

パート3パート4の感想はまとめてしまいます。これらのセクションは解き方のパターンが自分の中で出来上がってきている気がします。私は基本、設問と選択肢両方とも先読みします。かなりしっかり仕込みをする感じです。 特にグラフィック問題は、パート1のディレクションの間に最初に確認しておくようにしています。私はリテンション(記憶保持)が苦手なので、リスニングをしていて答えが出てきたらすぐにマークしてしまいます。今回もほとんどの問題は聞きながらすべての質問の答えを選んでしまって、聞き終えたらもうすぐに次の問題を読むという流れで解きました。 悩んだ問題もいくつかありましたが、基本的にあまり悩んでも分からないものは分からないので、ある程度で見切りをつけて次に進んでいく。 そのあたりのペースは今回もしっかりとできたかなと思います。TOEIC対策教えているおかげで出題のパターンは大分と掴めている気が。今回は特に先読みをじっくりしたので、会話やナレーションが始まる前に予測できるものもありました。でも、全問正解はしてないと思うなぁ。

 

たぶんリスニングの満点はないのではないかなと思っています。前回に受けた時は確か満点だったと思うのですが…。でも、毎回こんな感触だったような気もするし、どうだったかな?TOEICってしばらく受けてないと感覚を忘れますね。いつも受験前に公式問題を解いて準備するんですが、今回は色々と忙しくてリーディング問題しか準備できず。授業の準備でいくつか問題を解いたり音読したりはしてましたが、通しで問題解けずに本番を迎えてしまいました。シャドーイングとかもうちょっとしておきたかったんだけどなぁ。

 

取り敢えず、今日はリスニングの感想だけまとめてみました。リーディングはまた今度。実は今回、まさかの塗り絵をしてしまいました!そんなのいつ以来?!という痛恨のミス。読むの遅くなったのかなぁ。

 

追記: 気になってネットで検索してみたら、やっぱりパート2が難しかったという意見が多いようです。良かった私だけじゃなくて(笑)ちなみに私が受けたのは、男性がカートを押している写真のバージョンです。

 

Sojouner Truthの演説

大学前期の授業が無事に終了。残るは成績入力のみです。でもこれが大変だったりするんですが。学生達のTOEICの結果が出ないと決められないので、今は結果待ちです。自分のTOEIC以上に緊張します(笑)

 

さて、話は変わって先日お話したHidden Figuresのこと。記事の中で紹介したAin't I a woman?のもとになったのはSojourner Truthの演説でした。演説の原文はこちらで読めます。

www.sojournertruth.com

ちょっと英語がわかりずらいかも。1851年ということなので、そのせいもあるでしょうか?南部訛りなのかと思いきや、ニューヨーク生まれなのだそう。ニューヨークで奴隷として生まれ、後に自由になり、それから有名な反奴隷論者になったとのこと(私は女ではないの? - Wikipedia)。演説はオハイオ州で開催された女性会議でのもの。私は男性と同じように鞭に耐え、労働してきた。女性であっても男性と同じだけのことが出来る。ならば、女性も男性と同じ権利を与えられるべき。「私は女ではないの?」というのは、「女性は弱く守るべき存在」という考えに対して異を唱えるもの。

 

ちなみにこの演説、色んな人が再現した動画があるのですが、その1つを貼り付けてみます。女優シシリー・タイソンさんのスピーチ、さすがだなぁと思います。聞き取り難しいですが、雰囲気だけでも味わってみて下さい。

 youtu.be

 

本の方は7割位読み終えたところ。小説というより伝記と言った感じで、淡々と述べられていくので、ドキドキワクワクといった感じではないのですが、当時のアメリカがどんなだったかが見て取れて興味深いです。人種、性別の壁を超えて夢を実現していく主人公たちに感銘を受けます。基本、3人称で語られていくので、これを1人称にしてドラマティックにすれば、全く違った作品になりそうです。映画はたぶんもっと一人一人のキャラクターを際立たせて、エンターテイメント作品に仕上げているんだろうなと思います。 黒人として女性として色んな壁にぶち当たりながらも決して諦めずにチャレンジし続ける。白人男性なら楽々と進んでいける道も、黒人女性にとってはたくさんの障害を越えていかないといけない。なんと不公平な!と思うのだけれど、そこを情熱を持って超えていくのが彼女たちの凄いところ。私も頑張らな!という気にさせられます。 

ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち (ハーパーBOOKS)

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シャルシャル言ってみる

先週は風邪で体調を崩していたこともあり翻訳の方はお休みしていましたが、体調も戻ってきたのでそろそろ翻訳再開したいなと思っていたところ、ちょうど良いタイミングで打診がありました。内容はちょっと面倒くさそうだったのですが、先週一件お断りしているし、調べればできるだろうという内容だったのでお引き受けすることに。 出来る時に仕事をしておきたいですしね。

 

大学関係の文章なのですが、私が大学で教えているということもあって、コーディネーターさんもそういうのがあると私に声をかけて下さるようです。今回も、「大学関係なので」とメールが来たのですが、内容は職務規程のようなものでちょっと法律っぽい感じ。 決して得意ではないのですが、書かれている内容を読むと大学の仕事と関連してはいるのでイメージはわくんですよね。 以前に大学関係の翻訳をさせていただいた時はシラバスの入力方法で、これまた結構ややこしくて難しかった。

 

翻訳者登録する際にもコーディネーターの方から大学の案件が多いのでそういうのもお願いしたいという風には言われていました。規程とか多いので、シャルシャル言っておいてくれたらいいですよ〜と言われて、まさに今回そんな感じです。そこまでがっつり法律というのではないですし、スクール通学中にも授業で法律文書も訳したので、なんとか頑張って訳しています。ちょっと一段落ついたので休憩にブログ更新してみました。

 

あ、ちなみにシャルシャルというのはshallのこと。 通常の会話では今はshallというのは滅多に使いませんが、法律の文書ではよく出てきます。独特の表現が多いです。コーディネーターさんが参考までにと関連文書の翻訳文を送ってくださったのでそれを参考にしながら訳しているところです。めっちゃ大変ですが、ある種の達成感はありますね。やっぱり私、翻訳作業好きなんだなと思います。まだ続きがあるので、もう暫くシャルシャル頑張ってみま〜す。

Ain't I a Woman?

記事のタイトルを見て、「この英語間違ってるんじゃ?」と思った方もいるかもしれません。正しくは、Aren't I a woman?となります。「私は女ではないのか?」という意味。am notの短縮形というのはないので、代わりにaren'tを使います。Am I not というのもあるけど。一方、スラング表現でain'tという表現があって、洋楽の歌詞など口語でよく見かけます。英語学習者が率先して使う必要はありませんが、洋楽や洋画、海外ドラマなどでは出てくるので、知っておいて損はない表現だと思います。

 

しかし、なぜこんなタイトルをつけたのか?実はこれ、私が大学生の頃に授業で用いたテキストのタイトルでした。当時と同じ版のものが見つからないので、新しいものをご紹介しておきます。 

Ain't I a Woman: Black Women and Feminism

Ain't I a Woman: Black Women and Feminism

 

  

なぜそんな大昔の本を思い出したのかというと、今読んでいるこちらの本が原因。

Hidden Figures: The Untold Story of the African American Women Who Helped Win the Space Race

Hidden Figures: The Untold Story of the African American Women Who Helped Win the Space Race

 

 

主人公の3人はみな黒人女性。舞台はアメリカ。まだ白人と黒人が隔離されている時代。黒人が就ける仕事は限られている。しかも、女性です。どんなに優秀であっても、まず黒人であるということ、さらに女性であるということで、才能を発揮する機会が与えられない。そんな彼女達にチャンスが巡って来たのは、第二次世界大戦中。男性達が戦争にかり出され、とにかく人出が必要。通常なら黒人にはあてがわれない、女性には機会が与えられないような仕事が巡ってきます。そのチャンスを掴んだのが彼女達。

 

この本を読みながら、当時のアメリカで黒人達が置かれていた状況、女性達が置かれていた状況、そして黒人女性達が置かれていた状況が見えてきます。そしてふと思い出したのが、上の本のこと。

 

黒人の人権について訴えかける時、「黒人」というのは「黒人男性」のことである。そして女性の権利について語られる時、「女性」というのは「白人女性」のことを指す。黒人女性はそのどちらからも取り残されている。本の内容はそんな黒人女性の立場について書かれたものでした。あまりに昔すぎてよく覚えてないのですが、Hidden Figuresを読みながらふと頭に浮かんだのでした。そして改めて調べてみると、実は、"Ain't I a Woman?"というのは演説のタイトルなのだということが判明。それについては、また次回に書いてみようと思います。

  

こうやって本を読んでいると、普段気付かないようなことに気付いたり、意識が向いたり、考えさせられることが沢山あります。そしてそこから派生してまた新しい興味がわいたり。今回読んでいる本も、とても興味深いです。心に残った表現なども、また少しづつ紹介してみたいと思います。

 

 

 

ブッククラブと『パチンコ』の話

何の話かと言うと、先日読み終えたばかりのこちらの本のことです。

 

Pachinko

Pachinko

 

日本に移住してきた韓国人家族の物語。何世代にもわたっての物語が繰り広げられる700ページ越えの超大作でした。第二次世界対戦前に始まって、戦中、そして戦後まで続きます。 最初、読みながらどうしてパチンコというタイトルなのかなと思っていたのですが、中盤になってようやくわかりました。物語が孫世代に来たところで、登場人物の一人がパチンコパーラーで仕事を始めるのです。そしてそのままパチンコ店経営に携わっていきます。なぜパチンコ店なのかと思って調べてみたところ、日本にたくさんあるパチンコ店の多くが実は在日韓国人によって経営されているということを初めて知りました。当時、在日韓国人が就ける仕事というのはとても限られていて、その1つがパチンコ産業だったよう。なので登場人物たちの何人もがパチンコ店での仕事に就いていきます。物語の最後も非常に印象的。これについてはブッククラブのメンバー内でも賛否両論といった感じでしたが、タイトルのPachinkoが暗示的でもあります。

 

 この本を読みながら、自分の国のことながら知らないことがたくさんあるんだなと色々と気づかされました。日韓関係は色々と複雑なこともありますが、この本を読んで改めて色々と考えさせられました。在日韓国人について書かれた小説を初めて読みましたが、こういう本を日本人として一度は読んでおくことは大切だなと思います。

 

ブッククラブでのディスカッションも大いに盛り上がり、作品についてのみならず、日本社会について、在日韓国人について、そして第二次世界対戦のこと、いろんなことをいろんな国の人たちの視点で話し合えたことはとても興味深かったです。 ちなみに参加者の国籍は、日本、フィリピン、スペイン、アメリカといった感じでした。韓国人がいなかったのが残念。 ただ、多国籍なメンバーだったこともあって、テーマを日韓の問題だけではなくて人種の問題として捉えて、例えばユダヤ人の迫害に話がおよんだり、広い視点で語れたのが良かったです。

 

ボリュームのあるかなりの長編ですが、ストーリーはとても面白く、ドラマチックな展開にちょっと韓国ドラマを彷彿させられましたが、舞台は日本なのでまた違った感触です。英語は非常に読みやすく、私はサクサクと読めました。ただ、長いのが辛いですね。私はブッククラブ当日の朝にギリギリセーフで読み終えました。他のメンバーも同じだったようなので、「何だ皆いっしょか」と安心しましたが(笑)

 

残念ながら日本語版は出ていないようですが、アメリカではかなり話題になりベストセラーになっているそう。一読の価値ありと思います。