Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

映画『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』

先日の『レミゼラブル』が大作だったので、次はちょっと短めの軽めのものをと思ってこちらの映画を選んでみました

 

 

原題は『5 Flights Up』です。flightは階段を意味するのですが、stepsやstairsと違って一続きの階段をセットにして指して使います。stepやstairがたくさん集まってflightになると言えばわかるでしょうか?主人公たちの住むニューヨークの部屋はマンションの5階にある。1階から自分たちの部屋まで5 flightsということ。実は夫婦が住むこのマンション、エレベーターがないのです。なので5flightsを毎日上り下りしないといけません。結構な重労働です。主人公のカップルはワンちゃんを飼っているので散歩のたびに上り下りしないといけません。この部屋に住んで40年。歳とともにだんだん辛くなってきます。そんなこともあって部屋を売ろうと妻は言うのですが、夫はどうもあまり気乗りしないよう。

 

大きな事件が起きるわけではなく、まったりと進んでいくのですが、それがなんともほのぼのしてほっこりした優しい気持ちになれる映画でした。見始めてしばらくは「ちょっと退屈かも?」という気もしましたが、二人の過去の回想シーンなどが出てきて、一見平凡で穏やかに思えるふたりの今の暮らし、そこに至るまでの二人の葛藤が垣間見れて、平和な日常が愛おしく感じられます。

 

アメリカで家を売買するというのはこんな感じなんだなあと文化的な背景も見れて面白いです。そういえばTOEICでも不動産屋 real estate agent がよく登場するなあ。留守電のメッセージで「良い家が見つかりましたよ」とか「良い物件なので急がないとすぐに売れてしまいます」なんていうメッセージがあったなあ(笑)オープンハウスの様子なんかも見ていて面白い。部屋を見に来る人たちのまあ個性的なこと。オーナーを目の前にして好き勝手なことを言います。ま、これは映画だからですが、実際はさすがにそんなことないだろう。

 

不動産売買の話と別に、もう一つ垣間見える文化的な背景は医療費の問題。具合が悪くなったワンちゃんを獣医 vet の所に連れて行くのですが、CTを撮影するにも手術をするのもめちゃくちゃバカ高い金額がかかる。う~ん、ペットを飼うのも一苦労だ・・・。人間の場合と動物の場合とまた違うでしょうが、どちらにしろアメリカでは病院にかかりたくないですね。日本の国民皆保険って本当にありがたいなぁと思います。しょっちゅう病院にかかる私はアメリカには住みたくないなぁ。

 

さて最終的に部屋は無事に売れるのか、そして二人の新しい部屋は見つかるのか、ワンちゃんは無事に回復するのか等、あんまり書くとネタバレになってしまうので書きませんが、最後に温かい気持ちになる映画でした。

 

回想シーンで、彼女が黒人男性と結婚したいと家族に報告するシーンがある。母親は喜んでくれない。反対もしないけれども賛成もしない。祝福して欲しいと言う彼女に母親は「努力する try to」と答える。二人の間に子供はいない。その代わり可愛いワンちゃんがいる。絵に描いたような幸せな家庭ではないかもしれない。でも二人が選んだ人生。思い通りにいかなかったことがあったとしても、自分たちが選び取った生き方。幸せの形は色々あっていい。

 

モーガン・フリーマンダイアン・キートンの二人の演技が良い。じわっと心に響く。Amazonのレビューでは「現実的ではない」という批判もありましたが、映画に必ずしも現実性を求める必要はないと思う。なのでこの映画はこれでいいんだという気がします。ほっこりした気持ちになります。こういう映画も良いですね。二人とも素敵に歳を重ねている。自分も年をとってもこんな風に素敵でいれたらいいのになあと思います。

 


5 Flights Up Official Trailer #1 (2015) - Morgan Freeman, Diane Keaton Movie HD

 

最近映画をめっちゃ見まくっていますが、「やっぱ映画っていいなぁ」と思います。忙しい時はなかなか見れないのですが、こんな時だからこそ色んな映画を見て心を豊かにしたいもの。映画に限らず小説や絵画、音楽など、私にとって芸術って人生の中でとても大切な存在。今年はたくさん芸術に触れる一年にしたいなと思います。