Have I told you lately?
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先日、『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』という映画をご紹介しました。
映画『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』 - Lady Green's Diary
この映画の最後に、ヴァン・モリソンの曲 『Have I Told You Lately That I love You』がかかります。
この曲、ロッド・スチュアートもカバーしていますね。
この曲のタイトルに含まれる現在完了形の使い方が気になります。Did I tell youでは駄目なのでしょうか?
現在完了形の使い方は日本人にはなかなか理解するのが難しいです。英語のレッスンでも現在完了の使い方についてよくお話しします。必ずお伝えするのが「現在完了形は、過去の具体的な時を表す表現と一緒には使えない」ということです。 例えば"I came back from New York last week." ということはできますが"I have come back from New York last week. "ということはできません。「先週」という具体的な過去を表す時間表現が入っているから、過去形で表さないといけない。 もし現在完了形を使うのであれば "I have just come back from New York."というように表現を変える必要があります。
で、ここで曲のタイトルに出てくる表現 lately に注目。「最近」というlatelyは過去を表す時間表現にならないのだろうか?日本人的発想だと過去形にしたくなってしまいますが。
latelyに似た表現にrecentlyというのもありますが、実はどちらも「現在完了形」と共に使う表現です。「最近」というのは過去を表す時間表現とはみなさないのですね。recentlyに関しては、過去形で使う例もありますが、latelyは基本的には「現在完了形」と使います。
ということで、こんな会話が成立しそうです。
Man: Have I told you lately that I love you?
Woman: Yes, you have. You told me yesterday.
男性:最近、君に愛してるって言ったかな?
女性:ええ。昨日、言ってくれたわよ。
latelyに対しては現在完了形を使い、yesterdayと言うと過去形になる。ちなみに「言ってないわよ」と答えるならこんな感じでしょうか。
Man: Have I told you lately that I love you?
Woman: No, you haven’t. You haven’t told me since we got married.
男性:最近、君に愛してるって言ったかな?
女性:いいえ。結婚して以来、言ってくれていないわ。
sinceを使っているので、「~以来ずっと」という継続の用法になります。sinceの後は過去形になっているのもポイントです。現在完了+since+過去形というのはよくある文章のパターン。
歌の歌詞の中では、「昨日言ったかどうか」というのではなく、「最近、君に愛していると言ったかな?」とたずねているので、やはりここはHave I told youになるのです。
さて、せっかくなので、この曲の歌詞の続きをもう少し見てみましょう。「Have I told you lately that I love you? (最近、君に愛していると言ったかな?)」と歌った後、こんな風に続きます。
Have I told you there's no one else above you?
君以上の人は他にいないって言ったかな?
Fill my heart with gladness
僕の心を喜びで満たし
Take away all my sadness
僕の悲しみを全て取り除き
Ease my troubles
僕の苦しみを癒やしてくれる
That's what you do
それを君がしてくれるんだ
ここまで読んで、日常会話でもよく使える表現が多分に含まれています。
fill A with B=AをBで満たす
take away=取り除く
ease=和らげる、癒やす
シンプルな英語表現が使われていることでかえってメッセージが心に届くように思います。
こうやって英語の歌詞を見ていくことで、語彙表現や文法の使い方なども学ぶことができますね。単に日本語訳を読んで終わるのではなく、少し掘り下げてみることで、歌詞がダイレクトに心に届くような気がしませんか?
さてこの曲、映画のエンディングでかかるのですが、聞いていてとても温かい気持ちになる曲です。たとえ歌詞の意味がわからなくても、優しいメロディーラインと「I love you」の歌詞さえ聴き取れればこれが愛の歌であることがわかります。映画の余韻を残しながら優しい歌声に酔いしれ、ほっこりした気持ちになること請け合いです。「曲は知っているけれど映画は見たことがない」という方は、ぜひ一度見てもらいたい映画です。