Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

おっきなご褒美が待っていた

大学の講義と放射線治療とも、先週に無事に最後まで終了しました。講義は全部で30回、治療も全部で30回、そしてどちらも最終日が同じ日というなんとも不思議な偶然。正直言うと治療をしながらの講義に不安もあり、できれば開始日を少しずらせないかとも思ったのですが、これまでの経緯を見るとできるだけ早く開始した方が良いと放射線科の先生に言われ、頑張るしかないと腹をくくり治療開始したのでした。しかし、同じ日に終わりを迎えるなんて、振り返ってみると何だかちょっと運命的なものすら感じます。

 

雨の日も風の日も雪の日も毎日通った治療。もし治療途中で風邪ひいて熱でも出したら、コロナに罹ってしばらく治療中断にでもなったら、とドキドキしながらの2か月間でした。治療効果を最大限にするためには、途中で休んだり回数減らしたりというようにはしたくない!講義の後の治療は結構疲れもしましたが、なんとか大きな副作用もなく無事に終えられてホッと胸を撫でおろしています。最後の照射の一週間後が副作用のピークらしいので、まだ油断できませんが、今の時点でこの程度ならそんなに酷くはなるまいと思っています。

 

大学の仕事も、引き受けた時にはまさかこんな展開になるとは思いもよらず。初回レッスンのしばらく後にエコー検査にひっかかり、そこから針生検、癌の診断、手術日決定、放射線治療の開始とめまぐるしい展開で、「果たしてこの仕事ちゃんと無事に最後までできるのか?」と不安を感じながら、「いやせっかく引き受けた仕事こんなことで諦めてなるものか!」と最後まで何とか駆け抜けたのでした。事務局のスタッフさんや同僚の先生たちにも助けてもらいながら、途中で入院のために休講・補講などはあったものの、ちゃんと最後まで教え切ることができて感無量です。授業があったことでかえって気持ちを前に向けることができたのかもしれないとも思っています。

 

教えた学生達は全部で50人弱。TOEIC対策コースでしたが、コース終了前に目標スコアを達成した学生やスコアアップを報告してくれた学生もいました。最終日は修了テストの試験監督のみだったのですが、授業後にTOEICで900点達成を報告してくれて「ありがとうございました」とお礼を言いにきてくれた学生、「先生に会えなくなるの寂しい」と言ってくれた学生、英語に関係ないお悩み相談にのってあげた学生が「いろいろとお世話になりました」とお礼に言いに来てくれたり。

 

講義の最終日に授業アンケートというのを大学で実施するですが、修了テストの日に何人かの学生たちが「先生、コメント読んだ?私ってわかった?」と聞いてきます。集計結果が私のところにはまだ届いていなかったので、「まで見れてないのよ」と言っていたのですが、翌日に事務局スタッフさんが結果をファイルで送って下さいました。無記名のアンケートなので、誰が何を書いたのかはわかりませんが、たくさんの前向きなコメントが書かれていました。「先生だいすきです~♡」と書いている学生もおりました(笑)何だか最後に生徒たちからおっきなご褒美をもらったような気持ちです。私が伝えたかったことがちゃんと学生達に伝わっていたんだなぁ、と感慨深く思うと同時に、英語を教える立場として、英語力、指導力はもちろん大事なのですが、実は何よりも大事なのは愛情を持って教えるということなのではないかと改めて教えられた気がします。気持ちというのはやはり大事ですね。そして、生徒たちはそれをちゃんと感じ取って、それをまた返してくれるんだなぁ。

 

この仕事を引き受けるかどうか悩んだ時にふと思ったのが、「私が出会うべき生徒たちが、もしかしてそこにいるのかもしれない」ということ。人との出会いは、時にその後の人生を変えるくらいに重要なこともあります。いつも、「私が伝えられることがきっとあるのではないか」と思いながら、講師の仕事をしています。そして実は、生徒との出会いが私の人生を変えることだってあるのです。最後に学生達からたくさんの愛にあふれた言葉を受け取って、私自身がとても大切なことを教えられた気がします。

 

無事に講義を終えて、スタッフさんからもお礼のメールが届きました。「大変な状況の中でも明るく講義されている姿に感銘を受けました」と。他の先生たちみたいに治療の心配などせずに仕事に打ち込めれば、と思ったりもします。色んな大学で講義して活躍されている先生もいらっしゃいます。私には、できることが限られてしまう。それを歯痒く思うことも多々あります。でも、私がこういう状況下で、それでも私なりにできることを精一杯することで、もしかしてこれもまた何か伝えられることがあるのかもしれないな、とも思うのです。

 

もうそろそろ乳がんからは卒業したいなと思っていますが、病気の経験や治療を通して得られたものもあると思っています。楽しい経験も辛い経験も、すべて自分の一部です。ぜんぶひっくるめて今の自分がいるわけです。あらゆる学びを生かして、今後も自分の人生を生きていこうと思います。やっぱり私はこれからもずっと先生でいたいなと思わせてくれた学生達に感謝です!