Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

andの使い方~神戸大入試問題より~

前回の記事(神戸大の入試問題を解いてみました - Lady Green's Diary)の続きです。

再度、問題文の確認をしてみましょう。こんな文章でした。

The researchers — Oliver M. O'Reilly, a professor of mechanical engineering, and Christine E. Gregg and Christopher A. Daily-Diamond, students who are pursuing a Ph. D. in mechanical engineering — reported that the force of your foot striking the ground and the motion of your leg combine to help loosen and ultimately untie the knot of your shoelaces. 

 前回の記事で主語・動詞は確認できました。今回はreportの目的語となるthat以下の文の内容を見ていきます。前回と同様に主語・動詞を確認しないといけませんが、すぐにわかりましたか?私はわかりませんでした(笑)ちょっと考えました。まだまだ修行不足ですね(笑)

 

今回のポイントになるのがandという接続詞の使い方です。誰もが知っているこの単語、意外とこれがキーポイントになっています。「このandは何と何をつなげているんだろう?」ということが重要です。読解の指導をしていると、意外とここで躓く生徒が多いのです。何と何をつなげているのか、ここを間違えて解釈する生徒が多いです。そうすると文構造がちゃんと取れていないことになるので、誤訳になります。

 

2つ以上のものを並列でつなぐのがandの役割ですが、基本的に同種のものをつなげます。文法的に言えば名詞と名詞、動詞と動詞、文と文、といった同じ品詞で、意味的にも近い意味のものをつなぎます。対照的なものをつなぐならbutになるわけですから、andでつながりそうなものは何かなと考えなければいけません。そう考えて見ていくと、答えがわかってくるはず。

 

では、まず1つ目のandを見てみましょう。これはまだわかりやすいでしょうか?ふたつの名詞句がandでつなげられています。どちらも名詞+of ...の形なので、わかりやすいでしょうか。the force of your foot striking the groundとthe motion of of your legのふたつです。「足が地面を打つ力と脚の動き」ということです。ここで文章の切れ目も確認しておくと、strikingは直前の名詞footを修飾していますね。一方、legの後にあるcombineは、動詞の原形ですから、legを修飾しているとは取れません。なので、ここで一旦文章が切れると解釈しないといけない。つまり、that以下の文章、the force of your foot striking the ground and the motion of of your legというのが主語になっているわけです。そして動詞はcombineです。「足が地面を打つ力と脚の動き」が「合わさる」と言っているわけ。意味的にも辻褄が合います。

 

さて、ここからが問題です。この後にまたandが出てきますが、このandは何と何をつなげているでしょうか?やはり同種のものをつなげています。同じ品詞で、意味的にも並列できるような単語です。ちなみに、すぐに判断するのが難しい場合、私はandの後ろから見ていきます。A and Bの、Bが何かをまず見つけます。というのも、Aをまず考えると、可能性が多すぎるのですぐに判断できないんです。この文章では、combineなのか、helpなのか、loosenなのか、すぐにわかりません。一方、Bに当たるものは、大抵がandの直後に来る単語です。なので、わかりやすい。そこから、では何と並列してるんだろう?と考えれば、Aが何なのか見えてきます。

 

この文章の場合はandの後にultimatelyという副詞がまずありますが、andの前に副詞はないので、ultimatelyの後にある動詞untieに注目します。副詞は動詞を修飾できますから、A and BのBに当たるのは、「副詞のくっついた動詞」と考えます。ultimately untie「最終的にほどく」、これがBになる。では、これと並列で並べられる動詞は何でしょう?先ほども書いたように可能性は3つあります。combine、help、loosenのどれか。untieとつながる、と考えたら・・・もうわかりますよね?正解はloosen。「ゆるめる」と「ほどく」の2つがつなげられているわけです。この後にthe knot of your shoelaces「靴ひもの結び目」とあります。これが両方の動詞の目的語になっている。意味もしっくりきますよね?文法だけを考えれば、help loosenとultimately unitieがandでつながっているとも解釈できるんですが、意味を考えるとやはりloosenとuntieを並列した方がふさわしいです。

 

文章の意味を考える時は、文法+文脈の両方の視点から考えるのがいい。それで初めて正しい意味に辿り着きます。文法だけだと幾通りもの可能性が出てくることがあるし、文脈だけだと複雑な文章を読み解くことができない。なので、両方のアプローチが必要。特に、試験の問題なんかの場合、知らない単語が出てきても辞書で調べるわけにはいかないので、そんな時に文法的に分析して構造をつかめたら、単語がわからなくても文章の意味が大体わかったりもします。逆に単語は簡単でも、構造を取れないと意味がわからない。

 

さて、前回の内容も含めて、この文章を日本語に訳してみましょう。訳し方は色々あるかもしれませんが、意味はもう取れましたよね?

 

「機械工学の教授Oliver M. O'Reillyと機械工学博士課程の学生Christine E. Greggと Christopher A. Daily-Diamondの研究者たちは、足が地面を打つ力と脚の動きが合わさって、靴紐の結び目を緩め、最終的にほどいてしまう一因になると報告した」

 

綺麗な日本語に訳すのは難しいですが(実は和訳が苦手!)、こんな感じの意味になります。

 

ということで、LadyGreenの読解講座でした!

 

追記:

この後さらに京大の入試問題も解いてみました。ご興味あれば読んでみて下さい。

京大の入試問題を解いてみました - Lady Green's Diary