Lady Green's Diary

英語講師Lady Greenの日記

京大の入試問題を解いてみました

先日の神戸大の入試問題に続き京大の入試問題も解いてみたんですが、さすが京大、難しいですね!ちなみに前回読んだ神戸大学の入試問題についてはこちらをご参照ください。

神戸大の入試問題を解いてみました - Lady Green's Diary

andの使い方~神戸大入試問題より~ - Lady Green's Diary

 

さて、京大の入試問題です。まず最初の長文はこんな内容「人助けは素晴らしいことだけど、人を助けることで自分がいい気分になりたいという自己満足的な行動である場合もある。そこには『救世主コンプレックス』に陥ってしまう危険がある。しかし、だからと言って人助けを止めてしまうべきではない。自分が救世主であるかのように振舞ったり、そう思い込んでしまったりせずに人を助けるのがコツだ。」そんなことを述べた後に、次の段落でこんな文章が続きます。これを和訳しないといけません。

All of which is to say that how you help matters just as much as that you do help, which is why it is essential to begin by asking, "How can I help?" If you start with this question, you are asking, with humility, for direction. You are recognizing that others are experts in their own lives, and you are affording them the opportunity to remain in charge, even if you are providing some help.

 

まずポイントとなるのは関係代名詞whichの使い方。先行詞は何かということを考えないといけません。2回出てきますが、まず一つ目は冒頭にall of which という形で出てきます。 関係代名詞が冒頭でいきなり出てくるというのはあまり見慣れないですが、こういう使い方もあるんですね。 では先行詞は何かと言うと、この前の文章で出てきた内容を受けている。 文脈から考えると分かりますね。 そして2つ目のwhichも同じく前の文章の内容全体を受ける使い方です。ここではコンマの前までの内容をさしています。 howdoがイタリックになっているものポイントです。doは強調の用法。help を強調しています。「助ける」ことが大事、でも「どう」助けるかも同じ位に大事というわけです。意味をまとめてみるとこんな感じ。

 

「つまりは、あなたが相手をどのように助けるかということが、誰かを実際に助けることと同じ位に重要でなる。だから、まずは『どうお助けしましょうか』という風に尋ねる必要がある。 この質問で始めれば、あなたは謙虚に相手に指示を尋ねていることになる。相手がその人の生活の中ではエキスパートであると認めており、たとえあなたが助けたとしても、相手が主導権を持ち続ける機会を与えているのだ。」

 

最初の一文が特に難しいですね。前の段落の内容を捉えられていないと、whichが何を受けているのかもわかりません。神戸大の和訳問題のように主語・動詞の構造をとるだけでなく、全体の文脈も考えながら2重に出てくる関係代名詞を処理して、尚且つhowとdoの強調も捉えて訳す必要があります。また、2文目のwith humilityの前後にコンマがありますが、これは前回にお話しした挿入のコンマです。ask  for directionの間に割り込んでいる形です。そういったことを全て踏まえた上で意味を理解して和訳しないといけない。さすが、京大の試験問題は難しいなぁと思います。

 

問題を読んでみて、「う~ん、さすが京大、受験生は大変だなぁ」と思うと同時に、「こんな難しい文章ばっかり読んでたら英語話せるようにはならないかもな」ともちょっと思ってしまいました(笑)でも、こういう文章を読んでちゃんと内容を理解出来たら、読解力はかなりの高さです!読解力と会話力は別物なので、その辺は割り切っていかないと駄目ですね。

 

私は受験英語を専門に教えたりはしていませんが、こうやって見てみるとやはり大学によって出題傾向は違うんだなという感想です。やはり、受験生は基本的な英語力を磨きながらも、志望校の過去問で対策をするということが必要ですね。英検対策で過去問をお勧めしているように、受験対策でも過去問解くのが大切。とは言え、ベースになる語彙力や文法力がまず必要なので、過去問解きつつ語彙や文法の学習をしていくことが大事かと思います。

 

ちなみに大学受験で過去問と言えば「赤本」が有名ですが、実は「青本」というのもあることを最近知りました。青本難関大学のみ出ているのだとか。そして、赤本より青本の方が内容の質が高いとのことなので、京大目指して学習されている受験生さんは青本で過去問解くのが良さそうですね。解説も充実しているそう。

 

 

文法学習の参考書としては、まずは「総合英語Evergreen」1冊で基本は網羅できます。私が持っているのは古い版で「Forest」という名前なのですが、いつの間にやらリニューアルされて「Evergreen」という名前になってますね。なんかおしゃれ度が上がっているような気が(笑)参考書というのはあくまで「参照する」ものなので、通しで読むのは結構辛かったりしますが、この本は説明がわかりやすいので比較的読みやすい気がします。大学で講義していた時にも使っていたことがあります。英語の概念のとても大事なところをきちんと書かれていて、「文法参考書ってこんなこともちゃんと伝えてくれているんだ!」と感動しました。長く使える文法書です。

 

 

もう一歩踏み込んで、込み入った文法も確認したい時は、「ロイヤル英文法」がお勧め。「Evergreen」で物足りない人は持っておくと良いかも。ただ、初心者には難しい印象です。「Evergreen」では載っていない文法の細かいことを知りたい時にはこちらの参考書が活躍します。知りたい項目を目次で調べて参照するというのが良いです。ちなみに私は細かい文法を調べたい時、翻訳する時に確認したい文法事項があった時にこちらの参考書で調べます。これで調べて出てこないなら、それはかなりマニアックな文法事項ですね。大体この本で解決することが多いです。

 

 

読解力を上げる上で文法学習は必須。ただ長文をたくさん読むだけでは読解スキルは上がらないので、文法参考書を上手いこと活用して勉強するのがお勧めです。